X JAPAN「WORLD TOUR Live in TOKYO 〜攻撃続行中〜」LIVE REPORT

X JAPANの初参戦ライブレポです。mixiと同じ内容です。


水道橋駅を降りると、HIDEの命日というだけあってか、"HIDEコス"の女性がたくさんいた。 そして、HEATHの脱退未遂や、SUGIZOの加入が発表された翌日ということもあり、開演1時間前にドーム内に入ると、既にファンの熱気が漂っていた。


開演時間に遅れること約20分。会場が暗くなると同時に「The Last Song」が流れ、観客が総立ちに。5万人という会場の広さもあり、暗くなった瞬間のペンライトの海だけでも鳥肌ものだ。


そしてYOSHIKIのピアノとTOSHIのボーカルのみで「Rusty Nail」のサビを1フレーズを歌ってから、通常のイントロが始まるという、ライブならではのドラマティックな構成で初っ端からエンジン全開。そしてその勢いを保ったまま、定番の「WEEK END」へ流れ込む。
今日は終日TOSHIが絶好調で、CD以上に力強く、それでいて透き通っているボーカルを聞かせてくれた。


挨拶代わりの2曲を終えたところで一度MCが入り、TOSHIが「今日は新曲をやるぜ!」ってことで、新曲初披露。一聴した限りでは、ドラムとベースが映える曲で、Aメロ辺りでは、「Xの新境地か?」と思いきや、サビはXならではの美しいメロディーが炸裂。早くCD化されることを願いたい。


新曲が終わると、そのままPATAのソロコーナー〜HIDEが歌うRock'n'Roll、「Celebration」へ突入。いや、正確には映像を流しているだけなのだが、PATA、HEATHが生演奏をしながらHIDEが歌っている映像が2枚の巨大スクリーンに流れるので、本当に歌っているかのような盛り上がりだった。この曲以外にも、HIDEの映像が楽曲とシンクロするようにところどころで流され、感動を誘っていた。


HIDEが歌い終わると、少し間をおいて、TOSHI、PATA、HEATHの3人による「Rose of Pain」のアコースティックバージョン。元々「悲痛な光景を目の当たりにしてきた薔薇が語る」という設定の激しくも悲しい曲であるが、原曲以上に哀愁を帯びていてまた違った良さが楽しめた。また、この曲の演奏は94年の東京ドーム2days以来ということで、15年ぶりであった。最高だ。


この時点で会場は既にかなりの感動ムードであったが、畳み掛けるようにYOSHIKIのピアノソロから名バラード「Tears」へ。5万人で「dry your tears with love」の大合唱。この流れに泣けないはずがない。「Tears」が終わると、YOSHIKIがピアノを弾き続ける中、SUGIZOがなんとバイオリンを持ってステージへ。これにはドームにざわめきが起こる。


そしてYOSHIKIのピアノとSUGIZOのバイオリンのアコースティックな掛け合い。SUGIZOの佇まいがめちゃめちゃカッコいい。ここで何人のXファンがSUGIZOに惚れただろうか(笑)そして、一緒に参戦したバイオリン経験のある友人に聞くと、やはり演奏力も一流だったそうだ。掛け合いの中、自然な流れで「DAHLIA」のメロディが奏でられると、大盛り上がりの会場。


この「DAHLIA」も、実は11年ぶりの演奏となる。「Rose of Pain」の15年と同様に11年間待っていた人もいたのだろう、このハイスピード・ヘヴィメタルナンバーで会場は再びテンションアップ。この「DAHLIA」の時点で多くの人が今日のライブは間違いなくX史上最高のセットリストだと確信しただろう。


「Celebration」までの"動"、「Rose of Pain」以降の"静"、そしてまた動へ―。改めて、Xの強みはこの極端な"静"と"動"の共存だと思った。激しい曲調で会場のボルテージが最高潮になったと思えば、哀愁のあるバラードで涙を誘う。この絶妙なメリハリがお互いを引き立てあっていた。


DAHLIA」が終わると盛り上がりはそのままに、TOSHIの「紅だぁぁぁぁぁーっ」というお決まりのシャウトと共に「紅」へ突入。20年間以上も前からこんな曲があったなんてすごすぎる。今も全く色褪せない名曲。ここで会場の盛り上がりは最高潮に達する。会場、揺れすぎ。東京ドーム、大丈夫か?(笑)


ここで一部終了。時計を見ると、ここまでで開演してから1時間半ほど経っていたが、本当に短い時間であった。会場のスタンド席では何度も何度もウェーブが巻き起こってはドームを一周していた。最高のライブに対する歓喜の渦であった。


そして女性ボーカルと共にアンコールが始まる。僕はXしかしらなかったので、最初は驚いてしまったのだが、これはVIOLET UKというYOSHIKIのソロプロジェクトらしい。Xとは全く異なる民族的な曲調で、様々な衣装を着たダンサーがステージで舞い踊る。これはこれで見ごたえがあるものであったが、あえて今日のライブで注文をつけるなら、全体からすれば些細なことであるのだが、このVIOLET UKのステージが若干冗長に感じた点だ。


VIOLET UKが終わると、YOSHIKIのドラムソロへ突入。これがまさに"狂気"であった。時間にして10分くらいであろうか、一心不乱にドラムを叩き続けるYOSHIKI。ドラムを叩くたびに汗のしぶきが飛び、倒れかけることも。命のドラミングであった。本当に40代ですか?(笑)


さらに、ドラムセット全体が床ごと3〜4mほど上昇し、その後ステージから会場の花道の方へ前進してゆくという、前代未聞の大掛かりな舞台装置も見ごたえ十分。度肝を抜かれるとはこのことを言うのだろう。30億円というだけのことはあった。


ドラムソロが終わると、TOSHIが出てきて「Without You」へ。この曲はHIDEの死後、彼に送るために作られた曲だ。HIDEのいた時代の写真が次々とスクリーンの映し出され、ピアノとボーカルだけのシンプルな構成が、悲しい歌詞と綺麗なメロディをより鮮明にしていた。僕はHIDEのいた時代のXをリアルタイムで体験してはいないのだが、この曲と会場の雰囲気がHIDEの存在の大きさを物語っていた。


そして、メンバーは再びステージ裏へ。しかし、明るくならない会場。響き渡る「We are X!!」の叫び声。「これはもしかして・・・、ダブルアンコール!?」そう思って待っていると、「We are X!!」コールが徐々に会場全体を包み始める。


そしてドームが一体となったとき、三度メンバーが登場。TOSHIの「アンコールいくぞーーっ」の叫びと共に「I.V.」へ。サビで「In the rain」「find a way」の大合唱。Xのライブの特徴の一つに、来場者が歌う場面が多いことが挙げられるが、かなりシンプルなメロディなので初めてでも会場の"ノリ"に入っていける点が非常に良かった。


その次は待ってましたの定番曲「X」。以前、5万人がXジャンプをすると、文京区全体が揺れるからやらないでくれ(1997年の『THE LAST LIVE』で震度3)と言われたこともある曰く付きの曲だ。今日も、ジャンピング行為は禁止されていますとの貼り紙が大量にあったにも関わらず、結局みんなXジャンプしまくりだった(笑)HIDEも映像で「飛べ飛べ飛べ〜」って煽っていたし、あの状況でジャンプしない方が無理だというものだが。


そして、TOSHIによると「本来ならここで終わり」ということであるが、YOSHIKIの希望により「Endless Rain」も演奏することに。最後のサビになると、YOSHIKIのピアノの伴奏と共に、恒例の大合唱。「endless rain,fall on my heart 心の傷に / Let me forget all of the hate, all of the sadness」を何度繰り返したことだろうか。YOSHIKIが涙でピアノが弾けなくなった場面は、本当に泣きそうになった。


HIDEの命日という、メンバーにとってもファンにとっても大切なライブは、「HIDEへと届け」と言わんばかりのこの日一番の大合唱で幕を閉じた。


時間にして、3時間20分。東京ドームさえも小さく感じさせるX JAPANというバンドのスケールは、CDやYouTubeの映像などから想像していた器を遥かに凌駕していた。


【セットリスト】
1.The Last Song(SE)
2.Rusty Nail
3.WEEK END
4.新曲
5.PATA solo
6.Celebration
7.Rose of Pain(Acoustic)
8.YOSHIKI PIANO
9.Tears
10.YOSHIKI PIANO & SUGIZO VIOLIN
11.DAHLIA
12.紅

  • encore1

1.VIOLET UK
2.YOSHIKI DRUMS SOLO
3.Without You

  • encore2

1.I.V.
2.X
3.Endless Rain
4.Say Anything(SE)